研究目的

小規模自治体研究所(2009年7月発足)は、「小規模自治体研究所における『自律』と『協働』の地域づくり」をメインテーマに、
学内の多様な分野の研究者と福島県内外の町村長がメンバーとなり、小規模自治体が直面している諸課題に対する実践的研究に、
自治体職員や地域住民と協働で取り組むことを目指している。

 

研究メンバー

研究代表者(研究所長)

  • 塩谷 弘康(福島大学行政政策学類・教授)

研究分担者(プロジェクト研究員)

  • 荒木田 岳(福島大学行政政策学類・准教授)
  • 今井  照(福島大学行政政策学類・教授)
  • 岩崎由美子(福島大学行政政策学類・教授)
  • 小山 良太(福島大学経済経営学類・准教授)
  • 境野 健兒(福島大学名誉教授)
  • 鈴木 典夫(福島大学行政政策学類・教授)
  • 大黒 太郎(福島大学行政政策学類・准教授)
  • 千葉 悦子(福島大学行政政策学類・教授)
  • 西崎 伸子(福島大学行政政策学類・准教授)
  • 松野 光伸(福島大学名誉教授)
  • 渡部 敬二(福島大学大学院地域政策科学研究科修士課程 2003 年度修了)

連携研究者(プロジェクト客員研究員)

  • 押山 利一(福島県大玉村長)
  • 井関 庄一(福島県柳津町長)
  • 梅津 輝雄(宮城県七ヶ宿町長)
  • 大楽 勝弘(福島県鮫川村長)
  • 管野 典雄(福島県飯舘村長)
  • 齋藤 文英(福島県会津坂下町長)
  • 長谷川律夫(福島県金山町長)
  • 目黒 吉久(福島県只見町長)

 

研究活動内容

「食を通じた女性たちによる地域づくり」の先進事例として阿武隈地域を研究対象としてきた小規模自治体研究所は、東日本大震災以降、震災によって失われた「かーちゃん(女性農業者)」たちのネットワークをつなぎ直す実践的な活動を展開している。平成24年度には、国立大学協会及びジャパン・プラット・フォーム(JPF)の助成を得て、「かーちゃんの力・プロジェクト協議会」と協働で、「〈食〉でつなぐコミュニティ・暮らし・地域の再生」事業に取り組んだが、その成果と課題を踏まえて、2013(平成25)年度においても、JPF「共に生きる」ファンドを利用して、同事業を発展的に継続している(活動期間は、2013年7月1日~2014年6月30日)。

前年度の具体的な成果としては、①当初、かーちゃんの力・プロジェクト協議会が仮設住宅に弁当を配布する形態をとっていたのが、仮設住宅の女性たが集まり自ら協働して弁当を作るという動きに発展していったこと、②かーちゃんたち同士の協働、かーちゃんと学生の協働、かーちゃんと地域の協働など、多様な協働が生まれてきたこと、の2点が挙げられる。そこで、平成25年度は、①「提供」型支援から「自立」型支援へ、②「協働」の活動範囲と参加者の一層の多様化を基本理念に、次の3つの活動に取り組んでいる。

 

1.「かーちゃん協働農場」の運営

避難によって農地を失った住民が、新たに避難先地域の耕作放棄地等を農地として借り上げ、新たに農業生産を再開する事例が増えている。また、日々の農作業や直売所等への出品を生きがいに細々と農業を続けてきた高齢者たちが、かつての生きがいを取り戻すべく協同で農地を借上げて仲間と共に「土と農のある生活」に復帰したいという要望が強く寄せられている。また、仮設住宅においても、軒先などで土や緑に少しでも触れたいという声が強く、前年度実施した、仮設住宅への「緑のカーテン植栽セット」提供プロジェクトは、各自が作った野菜を持ち寄って収穫祭を開くなど大好評である。

そこで今年度も、葛尾村住民が避難している三春町内に農地を借り上げ、仮設住宅住民が農作業を再開するための支援とする。また、仮設住宅等の避難者に野菜の「里親」になってもらい、植栽ポットでの野菜栽培で「土と農のある生活」を取り戻す。

 

2.伝統の〈食の技〉を記録する事業

<食の技>の「伝承者」(高齢女性中心)を招いた「料理講習会」を実施する。可能な限り、料理講習会には「伝承者」の家族を招待し、家族内の交流や、世代を通じた味の伝承のきっかけづくりとする。また、この料理講習会は、福島大学生によって企画・実施され、レシピの収集と蓄積、そのレシピに隠された地域の歴史や個人史の発掘、記録として進める。ここで伝授された新たなレシピやメニューを蓄積する。

 

3.仮設住宅での〈食を媒介としてコミュニティ活動〉の実施

前年度の活動で最も好評だった仮設住宅等におけるコミュニティ活動としての「弁当」の製作・提供事業は、今年度も継続して実施する。仮設住宅等のかーちゃんたちが主体となり、仮設住宅の住民たち、あるいは仮設住宅を受け入れている周辺地区の住民と協同で企画・実施するものであり、前年度の活動を通じて、対象とする仮設住宅では、月1回程度のイベントを回すだけの力を持つことができるようになった。大学としては、実施補助者としての学生ボランティアの派遣や、材料費やスタッフ人件費などの準備という形で支援を継続する。「われわれを受け入れてくれた地域のみなさんをお招きして、仮設住宅であぶくまの地域料理をふるまって感謝の気持ちを伝えたい」、という要望が仮設住宅の住民から寄せられており、この事業を仮設住宅外部に開く機会も創出する。

さらに、「食を媒介としたコミュニティ活動」に関する新規事業として、今年度新たに、仮設住宅における「梅干し」「味噌」「凍みもち」づくりに乗り出す。これら加工食品はどれも、「食生活必需品」であるばかりでなく、かつて、阿武隈地域の高齢住民にとっては、それぞれの時期に合わせ、すべてを自宅で手作りして保存し、1年をかけて消費するものでもあった。避難によって多くの高齢者がそうした習慣を奪われた状況に陥っており、今年度の新規事業として、この「手間暇のかかる食生活必需品」の仕込みを、仮設住宅住民が集まって行う「コミュニティ活動」と位置付け、避難によって失われた生きがいと食生活必需品を取り戻す取り組みとして展開する。

 
平成25年度活動報告書(PDF)
平成25年度収支決算報告書(PDF)